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「尊厳としてのたたかい」の時である。      弁護士髙崎暢

1 安保法制が強行採決された日、国会の抗議の場にいた私は、この国の

平和主義、民主主義が死滅するという怒り以上に不安に襲われた。

 岸田首相は、安倍政治を継承し、防衛大綱改定、「敵基地攻撃能力」保持、防衛費大幅増強など、「戦争できる国づくり」とその障害となる憲法9条破壊の道を突き進んでいる。不安が現実になり、先取りしていく。 

総選挙で改憲勢力の3分の2の議席を許してしまった。9条は今までにない危機的状況にある。一方で、危機に晒されながら国民的運動で跳ね返してきた75年の歴史は励ましとなる。

まず、夏の参議院選挙で、絶対に改憲派勢力の3分の2を許してはいけない。続くその後の改憲阻止の運動は、文字通り、私たちの尊厳をかけてのたたかいとなる。それは、新自由主義のもとで蔓延る反知性主義とのたたかいである。

敵と味方を峻別し煽る安倍の手法に嫌気をさして、あるいは深刻化する格差社会のもとで、政治や社会とのかかわりを希薄させたり断絶したりする層が広がりつつあるといわれている。さらに、中国脅威論、北朝鮮の動きを垂れ流すマスコミのもとで、「このままでは日本を守れない」と改憲の気運を高める層も存在する。

そうした人たちと会話をし手を結ばなければ、尊厳としてのたたかい、改憲阻止の運動の展望は開かれない。

2 自民党が考える改憲(壊憲)のひとつに自衛隊の憲法明記がある。それは今までの自衛隊の明記ではない。従来の政府解釈は、「自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力」であり、2項の戦力には当たらないとした一方、「必要最小限度の範囲内にとどまれば核兵器を保有することも合憲である」ということである。そうなると、「自衛のための核兵器の保有が可能である」と憲法上確定することになる。それは、まぎれもなく、この国が、「核兵器を含む武力の行使を可能とする国家」になるということである。ヒロシマ・ナガサキの体験で勝ち取った9条の平和主義を放棄せよと、私たちは突き付けられているのである。

平和的生存権の権威者である深瀬忠一北海道大学名誉教授は、21世紀における、「日本国民の核・地球時代の恒久平和に寄与する役割と使命」を著書で指摘する。いまその役割と使命を発揮する時である。

3 安保違憲訴訟は、国民の「平和のたたかい」のひとつである。その勝利には、世論の高まりと国民的運動が不可欠である。また、同訴訟もその運動の一分野である。北海道訴訟は、政府に忖度する最高裁の体質を考え、上告断念という苦渋の選択をしたが、安保法制廃棄の運動や全国の訴訟の支援を終わらせてはいない。

今急ぐことは、改憲内容の危険性を知らせ、9条を規範とする平和外交こそが人間の安全保障であるという根源的な問いかけを強めることである。

また、安保法制違憲判決を必ず勝ち取るために、賛同署名を急速に拡げ

ることであり、同時に、「改憲は不要・危険」の声を「改憲NO!1000万人署名」につなげることである。9条破壊を止めるという共通の目的をもつ二つの署名を、燎原の火のように、草の根の運動として、成功させることである。             

全国ネットワークニュース掲載

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